前回のイラストの『もう一人の自分と』のネタです。
ありがたや~ありがたや~
ゴウカザルsidとワルビアルsidあります。
シリアスになるのかな?この小説・・・
ゴウカザルsid
俺は今、戦っている。だけど俺は押されている。相手はかなり強い。マッハパンチも火炎放射も、全て交わされた。相手は確実にダメージを与えてくる、威力も俺より高い。体力の限界に近い俺は、地面に膝をついてしまった。
「お前の実力はこの程度か?笑わせるな」
相手は俺の目の前に来て、俺を見下していた。俺は呼吸を整えながらも相手の顔を見る。
「お前は何時になったら強くなる。何時になったら俺を超えてくれるんだ、もう一人の俺!」
俺が今まで戦っていたのは、猛火状態の時に出る・・・もう一人の自分だった
この出来事が起こったのは数時時間前。俺はワルビアル(以下ワル)と雑談している時だった。いきなり上から水が降ってきた。外にいたため、最初は雨かと思っていた。だが、いきなり睡魔に襲われて俺達は眠ってしまった。
目が覚めた時、俺達はベッドの上にいた。ワルはまだ寝ている。周りにいた奴等に何があったか聞いてみたが、不思議なことが起こっていた。
「あのさ、君達が眠った後、君達から光が飛び出したんだ。その光はどっか行っちゃったけど・・・」
その時はよく分からなかった。だけど、それが大きな問題になるなんて思っていなかった。
「オイ、犯人連れてきたぞ」
リザードン(以下リザ)がベトベトンを連れてきた。頭に大きなたんこぶを作っていたのはツッコまない。なた変な薬かと思い聞いてみた。
「あれは『人格分離薬』って言って多重人格者の人格を切り離す薬。この研究所にはお前とコイツしかいないから使ってみた。因みに3日経つともう二度と目ぇ覚まさない。薬は作ってない!」
「「「とっとと作ってこい!!」」」
その後話し合って俺はもう一人の人格を探すことにした。
とりあえず俺は、研究所の庭の森の中に来てみた。理由は簡単、もう一人の俺が生まれたのは森の中だったから。でも理由は覚えていない、何だったかな。
「おーい、もう一人の俺ー。居たら出てきてくれ、もう一人の俺ー」
何となくだけど、とりあえず呼んでみることにした。まぁ、出てこないと思うけど・・・
「・・・炎・・・ゃ」
微かに聞こえた声の方を振り向くと、火炎放射が俺の方に向かってきた。俺はすぐに『穴を掘る』で回避した。少し反応が遅かったら確実に大ダメージをくらっていた。それにしても、すごい威力の火炎放射だった。でも、どこかで見たことのあるような感じ、さっきまで身近に合ったような感覚がある。穴から出た俺は、火炎放射が来た方を向く。納得した、この火炎放射が誰が放ったのかが・・・
「上手くかわしたようだな。もう一人の俺よ」
そこにいたのは、もう一人の俺、猛火状態の俺だった。
その後戦闘になったのはいいが、今はもう防戦一方状態だ。もう一人の俺・・・
・・・・・・・・・・・・
「なぁ、もう一人の俺って長いからあだ名を考えないか?」
「戦いに集中しろ」←鳩尾にマッハパンチ
(ドゴッ)グフッ・・・手加減してくれたのは良いがやっぱり痛い。戦闘をちょっと中断して呼び名を話し合った。結果、俺=絆(キズナ)、もう一人の俺=焔(ホムラ)になった。決まった後すぐにまた殴られた。流石焔、隙が無ぇ・・・とりあえず戦闘再開した。
だが、防戦一方という状況は変わらない。それどころか、さっきより威力が強くなってきている。さっきまでのは本気を出していなかったということか・・・じゃあ、それに勝てない俺って・・・
「隙あり」
考えている間に火炎放射を喰らってしまった。反動で俺は木にぶつかった。そろそろ体力の限界だ、立てそうにない。
「う・・・ぐっ・・・」
「こんなものか、お前の力は・・・とんだ期待外れだ」
焔は俺の目の前で俺を見下していた。『期待外れ』その言葉が頭に残る。昔は体が焔の力に耐えられなく暴走していたが、今は耐えていて焔の力が発揮している。でもそれは、俺の体が強くなっただけで俺自身は強くなっていなかったんだ。やっぱりもっと強くならなきゃいけないのか・・・!
「・・・絆、俺がどうして生まれたのか覚えているか?」
いきなり言われ混乱する俺を、焔は呆れ顔でため息をついた。俺が記憶にあるのは、森の中、地面に渦巻の焼跡、崖の上、そして・・・
意識が戻った時に話してくれた『シンジ』
俺が焔と一緒になった日と、シンジと出会い一緒に旅に出た日は同じ。焔が生まれたのはあの日が関係あるのか?その日はザングースに襲われていた。でも、それだけで人格が生まれるのか?そんなことを考えていると、焔は俺の胸倉をを掴んだ。今度は何かと思うと、焔が発した言葉に俺は驚いた。
「俺は、お前の恐怖心から生まれたんだ!!」
「・・・どういうことだ」
「言葉の通りだ。ザングースの群れの事、覚えているな」
・・・そうだ。確かに、あの時俺は恐怖心しかなかった。『怖い』『痛い』『助けて』あの時はそう思っていた。崖に追い込まれザングースに殺られるかと思ったら、意識が失った。意識がハッキリしだすと、俺を中心に地面が焼焦げていた。そこにはザングースも倒れていた。よくわからなかった俺に、シンジが話しかけてくれた。
今思えば、シンジが俺に話しかけてくれなかったら・・そのシンジがサトシと出会わなかったら、俺はこういう風に笑っていられたのだろうか。俺と焔を認めてくれた2人には本当に感謝している。2人は正反対だけど、お互いの良さは俺が一番よく分かってる(多分)。
「俺は、シンジの事なんてどうでもいい。あんな弱者にこの力は扱えない」
「・・・っ!弱者!?違う、シンジは弱者じゃない!!」
「どうしてそう言える?アイツは俺を出すことが出来なかった。結果、お前を傷つけ捨てたではないか?」
確かにそうだ、シンジにゲットされてからは焔は一度も出てきていない。俺の猛火しか発動していなかった。ゲットされてから焔が初めて出てきたのは、サトシの時だった。サトシにゲットされて、シンジと戦闘した時だった。あの時は暴走して皆には迷惑をかけたな。
・・・でも、だからと言って、シンジが弱者と呼ばれる理由なんて無い。
「・・・ン・・・の・・・」
シンジがいたから俺はもっと上を目指そうと思った、強くなろうと思えた。
「シンジの事・・・」
シンジに認めてもらいたいと思ったんだ!
「シンジの事!悪く言うなあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は焔の顔めがけてマッハパンチを放った。焔は片手で俺のこぶしを掴む。掴まれながらも、俺の気持ちを伝えた。
「たとえお前が弱者だと思っても、俺はシンジは最高のトレーナーだと思ってる!シンジがいなかったら、俺は今みたいに強くなろうと思っていなかった。サトシに出会えなかった!お前の力がこの体に耐えることなんて出来なかったかもしれない!!シンジがいて、サトシがいて、本当にお前の力が使えるようになったんじゃないのか!?」
焔は俺の言葉に見開き、手の力を弱めていた。その事に気づいた俺は、俺はフレアドライブを使うことにした。焔もそれに気づき、俺と距離をとって同じ技を使おうとしている。一発勝負、持てる力を全てこの炎に宿した。
許せない、俺の事はどんなに言われてもいい。だけどシンジだけは、俺の恩人を悪く言ったら許せない!!俺は『怒り』の気持ちと『勝ちたい』という気持ちを胸に、焔に向かって行った。焔もこちらに向かって来る。
「焔ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「絆ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
お互いのぶつかりにより爆風が巻き起こった。近くに居たポケモン達は飛ばされないように踏ん張っている。お互い一歩も譲らないと思っていた。だが、俺は力尽きて焔のフレアドライブに飛ばされ気絶してしまった。
ごめん、シンジ・・・俺はまだ・・・強くなかった・・・
目が覚めた時、俺は医務室にいた。俺の体は手当されていた。多分オニゴーリがやってくれたのだろう、後でお礼を言わないとな。そういえば、焔は何処に行ったんだろう。まだ3日どころか1日経ってないよな。傷の痛む体を何とか起こし、周りを見てみた。そんな時、誰かが入ってきた。
「無理に体を起こすな。少しの間寝ていろ。・・・そんな目で見なくても何処にもいかない」
どうやら誰かが薬の事を話してくれたようだ。焔は傷を負った俺をここまで運んできてくれたらしい。俺は今日1日安静にしてろとオニゴーリからの伝言も受け取った。
でも俺、結局1撃も焔にダメージを与えていない。まだまだだなぁ・・・と改めて実感した。はぁ・・・とため息を吐くと、焔はこんなことを言いだした。
「絆、お前が俺に勝てないのはお前に実力がないからではない。お前の心の問題だ」
「・・・心?」
よく分からなかった。てっきり力や技の威力が弱いのかと思っていたのに。
「お前の強さは俺が一番知っている。だが、それに匹敵する心が備わっていない。今のお前の弱点は『恐怖心』だ」
恐怖心が、俺の弱点・・・確かに俺は、まだ戦闘に負けそうになる時に恐怖心を抱くときがある。その時に焔が出てくる。勿論それ以外の時だって出てくるときもあるが・・・今まで気づかなかった、焔が言わなかったら一生か解らなかったかもしれない。
「お前の恐怖心で俺は目を覚まし、お前の体を使うことが出来る。だから絆、お前はその恐怖心を無くせ。そうすればお前は俺を超えることが出来る」
「・・・でも、それじゃあ焔が消えるんじゃないのか?」
「人格が消えることはない、永い眠りにつくようなものだ。それとも、俺が居ないと怖いのか?」
「そうじゃないが、ちょっと心配だな」
「俺の力に甘えるな。世界は広い、俺の力を超える奴なんていくらでもいる」
確かにそうかもしれない。シンオウリーグで優勝したタクトや、四天王、チャンピオンの人達はもっと強い。いつまでも焔の力に甘えるわけにはいかない。・・・だけど・・・
「お前が俺の力を超えたとしても、俺はお前の中にいつまでもいる。誰にも相談できないことがあったら相談すればいい。お前がいたから俺が生まれたんだ。相談くらいなら何時でもするがいい」
もう寝ろと言われ、俺は少し眠ることにした。だけど、焔がどこかに行ってしまいそうで怖く、焔の手を握ってしまう。そのまま俺は眠ってしまった。手から伝わる焔の暖かさを感じながら。
俺、やっぱり焔がいないと駄目だな
俺は焔に甘えているわけじゃない。だけど、焔がいると安心する。永い眠りについてほしくない、一緒に強くなりたい。焔はこれを嫌がると思う、でも俺は焔が必要だ。今まで焔が居たから今の人生がある。これからの人生も2人で歩んでいきたい。
薬が出来たのは2日後、それまでの間は焔は引っ張りだこ状態だった。俺はただそれを見ていることしかできなかった。それにイラついた焔がフレアドライブを放ったことはスルーした。
俺はベトベトンからもらった薬を手にし、焔と最後にハイタッチした。こんな経験はもう2度と来ないと思う。でも、そんなことしなくても俺はお互いの事はよく知っている。でも、面と向かって話さないと分からないこともあることがよくわかった。
「絆、強くなれよ」
「ああ、必ず強くなる。お前の力を超えて見せる」
最後の会話をした後、俺は薬を飲んだ。俺は気を失ってその場で寝てしまった。
目を覚ますと、体に焔が居る感覚がよくわかる。やっぱり一緒にいるから良いのかもな。そんな気持ちで俺は先輩に試合を申し込んだ。
強くなるために、さらなる高みを目指すために。